プロダクト

1本の根っこから、1個の実から、1本の筆が生まれる

この商品について

 「書き味が楽しく、豪快さもある」

 吉田元さんが植物の筆に興味を持ったのは、約20年前。仕事の過労で倒れ、療養中のリハビリとして書や絵に親しんだ時、竹筆に出合った。
  1本の竹筆は1本の竹から作られる。その素朴な構造にもひかれ、身の周りにある木を叩けば筆になるかもしれない…と、ガジュマルやサトウキビ、ユウナの木などを「叩いてみた」。しかし、筆には成りえなかった。

 そんな日々、ふと目にとまったのが、海辺などに自生するアダンの木だ。パイナップルをまんまるにしたような実をつけ、根っこのカタチもまたおもしろい。幹や枝から地面に向かって何本も気根と呼ばれる根を出している姿は、蛸が踊っているごとく。
 これだ! と直感した吉田さん。以来、8年の試行錯誤を経て、独自のアダン筆が誕生した。

 細いのも、太いのも、小指ほどの小さいのも、そして実も…。1本ずつの根、1つずつの実の個性が、筆のカタチと書き味になる。

 吉田さんは当初それを知らずに筆を作り始めたが、アダン筆は琉球王国の時代、役人達の筆記用具だった。江戸時代には本土にも伝わり、『雨月物語』を書いた文人・上田秋成がその筆圧を好んだといわれている。

 その後、毛筆が普及し、衰退。だが、動物の殺生を伴なわず、輸入にも頼らない植物の筆は、今また見直されるべき存在といえる。

 彼の工房に近い読谷村は、戦前まで、アダンの葉で作るパナマ帽の工場がいくつも立ち、サトウキビと並ぶ村の産業だったという。戦火、そして戦後に作られた米軍の射爆場によって途絶えたアダン文化だが、吉田さんの「後世に残したい」という強い思いに応えたプロジェクトが、読谷村で始まろうとしている。

メイン写真 : 手前の2本が“気根”から作られた筆(直径約28cm、35cm)。手で握る部分の表皮は残し、アダンの風合いを出している
写真1 : 穂にする部分は、根の表皮を剥ぎ、ツチで叩いて軟らかくほぐした後、ブラシでとく。穂先の調整は長年の試行錯誤から生まれた技法にて
写真2 : 筆のかけ紐もアダンの繊維を編んでで作る。三つの色は「沖縄旗」から。青は平和、白は自由、赤は熟成を表す
写真3 : パリの書作展で展示したアダン筆。「植物100%の大筆でギネスに挑戦したい」と吉田さん
写真4 : 完熟したアダンの実から作られた筆。植物の筆はアダン以外にもあるが、実で作られる筆は稀少
写真5 : 木箱の文字は吉田さんがアダン筆で書いたもの。「年中“夢”求でがんばっています」

文=黒川祐子(アイデアにんべん)
写真=田村ハーコ
ディレクション=momoto編集部

ここがフラッグシップ!

動物の殺生を伴わず、輸入にも頼らない、沖縄ならではの植物の筆。その書き味には定評がある

アダン筆 - 筆工房 琉球大発見

吉田 元(よしだ・はじめ)
1992年アダン筆製作に取り組む。2001年第26回日本手工芸美術作品展入選。'02年フランス・パリで書作展を開催。'08年「筆工房 琉球大発見」を嘉手納町に創設。現在、読谷村とアダンの多様性を生かした事業(アダンファーム、さまざまな商品開発など)を模索しながら、アダン文化の伝承に力を注いでいる。

商品についてのお問い合わせ

筆工房 琉球大発見
住所:嘉手納町嘉手納6-5
電話:098-956-1780
URL:http://www9.plala.or.jp/fudekoubou/
e-mail:d_labo2007@yahoo.co.jp

※取扱商品の在庫につきましては上記までお問い合わせください。

沖縄ウェディング

ビーチパーティー

Flagship OKINAWA Channel

実際の商品を手に取れるショップ