特集

沖縄クリエイティブギャラリー 〜デザインを通じてつながる創造の広場〜

2010年夏にオープンした北谷町美浜の新スポット、depot Island(デポアイランド)内にある沖縄クリエイティブギャラリー。「クリエイティブな活動と交流を通して、沖縄を楽しく、豊かなものにする」というコンセプトのもと、小さな空間が、クリエイター達の大きな夢を応援している。

 コザの町で見かける英語の看板とは違うスペルや記述。至る所で見かけるカフェテラスでカフェオレをたのしむ人々。沖縄のそれとは明らかに違う石畳の道路。
 数多くの芸術家達を輩出し、いまだにその勢いを弱めることのない街、「パリ」。
多くの日本人アーティストもこの街でその力を磨き世界の芸術界に名を残してきた。
 そんな街でまた一人の日本人が「パリ」デビューをした。国頭村比地在住の美野定雄氏(70)だ。東京都出身の美野氏は40年前来沖、広告代理店に長く勤務した後、芸術活動に入り、現在は沖縄県国頭村比地でアトリエを構え「紙漉き」を中心に芸術活動を行っている。今回、ふとしたきっかけで日仏友好協会の仕事に携わり、その際来日したギャラリーのオーナーの呼びかけに応えての個展開催へと繋がった。
フランスで活躍する沖縄の人は多いが、美野氏のように芸術作品が認められての個展開催は稀有な例といえるのではないだろうか。

「多くの場合、少数派のアートが多数派の作品に影響を与えるものだ」
 とギャラリー代表のデニス・コルネさん。
「美野さんの作品にはその影響力があり、日本では少数派の沖縄からの発信に一助できることは大きな喜びです」
 と語った。
 思わぬきっかけで開催された今回の個展は、近年のアニメに代表されるような1900年のフランス万博以来の日本ブームに沸くここフランスで、ちょっと違う日本として大好評を博している。 日本の中でも気候風土や歴史、文化が特異な沖縄から生まれた「沖縄の美」が芸術の街パリで大きな発信力を持ち始めた。

「フランス人には紙でアートすることが珍しいらしいよ」
 と美野氏。事実ギャラリーにやってくる人々は口をそろえて「なぜ、紙で…?」と一様に驚く。 写真にあるように、美野氏の作品は主に沖縄の植物を利用した「紙」を漉き、その紙を元にしたオブジェが中心の芸術作品。その「風合い」や「質感」は南国沖縄のみにとどまらず、「和」全体を表現するかのような作品になっている。 さらにいうと、フランスではなかなかお目にかかれない紙の質感と色の重なり、そして伝統とモダンを感じさせる、どこの国のものともいい難いデザインには、様々な国の感性を取り入れてきた沖縄を感じさせる。そして、自分の感性の赴くままに作り上げてきた美野氏の作品に、フランス人が引き寄せられるように集まり、その素晴らしさを称えた。

 美野氏は東京で生まれ育ち、ふとした縁で沖縄に至り、それからは沖縄の地にずっと暮らしている。生まれ育った東京の都会的で洗練された感性は、拭い去れるものではないし、沖縄の伝統文化は確かに素晴らしいが、それだけに染まるほど、人ひとりの感性は柔ではない。きっと、沖縄の先人達も、純粋に自らの美意識によって動かされたに違いない。その自由な創造性と独創性を受け入れることができる寛容な精神が、類まれな沖縄の芸術を生み出してきたのだろう。美野氏の作品には、沖縄に凝り固まるのではない、沖縄の大らかな感性が、生きているのだ。自らが創りたいものを創り続けることが、どこの国でも通用することを示した美野氏の作品が、次世代の沖縄の担い手である若者達の勇気となることを期待したい。

文=高良まき子
写真=高良圭一
ディレクション=アドスタッフ博報堂

美野 定雄(みの・さだお)
1940年東京生まれ。
1976年来沖。以降、沖縄の広告業界で長く活躍後、 国頭村比地で創作活動に入る。 県内はもちろん、県外での創作活動にも積極的。

お問い合わせ
フラッグシップ沖縄 事務局
株式会社 アドスタッフ博報堂内
住所:那覇市久茂地3-17-5 美栄橋ビル3F
電話:098-862-4671
FAX:098-862-1589
e-mail:info@flagship-okinawa.jp

2010年7月にオープンした沖縄クリエイティブギャラリー。depot Islandの中でもひと際目立つ、ピンク色のタワー2階にある個展が行われたギャラリー・チェルイリー。パリの観光スポットとして有名なピカソ美術館の並びに位置する

コーディネーターとしてクリエイターをサポートする大城亮子さんパリでの個展を呼びかけたギャラリーのオーナー、デニス・コルネ氏

14坪の創造的な空間。展示、販売、告知、ワークショップなどにプロ・アマ問わずに利用できる日仏文化交流をきっかけに新たな芸術交流を更に増やしていきたいと語る両氏

取材時に開催中だった写真展の出展者と、夜に開催するワークショップについて打ち合わせ1階と地階に分かれる展示スペースにはオーナーのデニス氏の目にかなった作品が並ぶ

沖縄の海に関わる3名のクリエイター達による「海とのきずな展」独自の世界をパリで発表した美野定雄氏

取材時に開催中だった写真展の出展者と、夜に開催するワークショップについて打ち合わせ街の佇まいや道行く人もどこかしら洗練された雰囲気

沖縄の海に関わる3名のクリエイター達による「海とのきずな展」至る所がそのまま絵葉書になりそうな町並みのパリ

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