カルチャー

琉球王朝の美が現代に華やぐ。凛とした漆アクセサリー。

熱帯夜に響くコザの音

コザが音楽の街である理由

 戦後、米軍基地の門前町として栄えてきたコザ。1974年の美里村との合併で沖縄市となり、栄華の面影も月日とともに薄くなりつつあるが、今も嘉手納空軍基地のゲートへと延びるコザゲート通りには、英文字標記の看板が並び、行き交う外国人とともに独特の雰囲気を作り出している。
 そんな異国情緒溢れるコザの魅力はやはり「音楽」だろうか。
 ロックの激しいサウンドと三線のたおやかな音色が交差し、夏には旧盆の伝統行事「エイサー」の太鼓の音が鳴り響く。この街は、民謡やジャズ、ロック、フォークなど、多彩な伝統文化や芸能・音楽を育んできた。
 照屋林助さんをはじめ、第二次世界大戦後の民謡界からは嘉手苅林昌さんや登川誠仁さんが。ベトナム戦争のころには、オキナワンロックの「紫」や「コンディショングリーン」が。70年代に入ると普久原恒勇さんが『芭蕉布』や『ゆうなの花』などの名曲を発表。喜納昌吉さんが『ハイサイおじさん』で衝撃的なデビューを飾り、90年代には「りんけんバンド」、知名定男さんプロデュースの「ネーネーズ」がデビューし、最近では「オレンジレンジ」が全国的に活躍するなど、多くのミュージシャン達がここコザの街で生まれ育った。

 ではなぜ、コザは音楽が盛んなのだろうか?
 そこにもやはり基地の街という環境が大きく影響している。
第二次世界大戦後、戦争で打ちひしがれた沖縄の人々を元気づけるために、当時の沖縄民政府は役者や地謡の人達を公務員として芸能技官に任命し、県民の慰労に努めた。娯楽の乏しかった時代、沖縄民謡や沖縄芝居は一躍脚光を浴びて大人気に。当然のことながら民謡を志す人達も増えていった。若かりしころの嘉手苅林昌さんや登川誠仁さんなども、沖縄芝居の地謡として活躍してきた人達だ。
 その後、嘉手納基地をはじめとする基地建設が進む中で、職を求めて集まって来た人々でコザの人口は急増する。'56年には越来村からコザ市へ昇格するほど、軍作業と呼ばれる米軍基地内での仕事を求めて人々が集まり、その中には民謡好きな人達も仕事と活動の場を求めてやって来た。当時、米軍の炊事係をしていたという民謡界の大御所・山内昌徳さんの家には、小浜守栄さんや嘉手苅林昌さん、喜納昌永さん、登川誠仁さんなど、戦後の沖縄民謡を支えてきたそうそうたるメンバーが、基地から密かに持ち帰った食料や物品目当てに、入り浸っていたというエピソードも。
 登川誠仁さんが取り組んだ沖縄初の民謡ショーや、ラジオやジュークボックスの普及、喜納昌永さんが始めた初の民謡専門店「クラブメトロ」の登場などで、60年代には一大民謡ブームが巻き起こる。活気溢れるコザの街には民謡酒場が次々にオープンし、数多くの民謡歌手がコザを中心に活躍した時代だった。

 50年代はまた、沖縄ジャズの黄金期でもあった。次々にキャバレー(ジャズクラブ)が誕生し、ジャズミュージシャンが足りなくなるほどだったという。そこで米軍と沖縄民政府は、地元でのジャズミュージシャンの育成に乗り出し、中学や高校の吹奏楽部に所属している学生達をスカウト。中にはカカシ(演奏をしているふりをして立っているだけ)としてステージに立つ人もいたとか。あの照屋林助さんも一時期、バンドマンとしてベースを弾いていたそうな。
 夜10時ごろまで基地内の将校クラブなどで演奏し、その後は基地の外のキャバレーのステージに立つ。話しによると当時、ジャズミュージシャンの給料は公務員の2〜3倍もあり、あこがれの職業だったそうだ。今も現役で活躍する与世山澄子さんなど、そんな環境でもまれ実力を付けていったジャズミュージシャン達が、現在も沖縄のジャズシーンを支えているのである。ちなみに、戦後、米軍は基地内外でさまざまなジャズコンサートを開催したが、そこには驚くべきことに、カウント・ベーシーやルイ・アームストロング、ライオネル・ハンプトンなどの大物ミュージシャンも登場したとか!

コザゲート通りにはバーやライブハウスの他に、インド人の経営するテーラーやストリートファッションのお店も数多く並ぶ

映画「ナビィの恋」でもおなじみの、沖縄民謡界を代表する登川誠仁さん。『スピリチュアル ユニティ』登川誠仁 発売元/リスペクトレコード

旧盆の伝統行事「エイサー」。その翌週末に行われる「全島エイサーまつり」は、沖縄の夏の風物詩。初日には中心街周辺の道路でも演舞が繰り広げられる

1954年ごろの「ビジネスセンター通り」の入口。地元ではBC通り、あるいは単にセンター通りと呼ばれていた。ちなみに「コザゲート通り」は、普通にゲート通りと呼ばれている

1983年ごろのセンター通りの風景。英語表記のネオンサインとヤシの木はアメリカ風だが、どこかアジア的な香りがする風景

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基地の街から生まれ変わるコザ文化

沖縄ウェディング

ビーチパーティー

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